ケース紹介 福利厚生になる書籍購入制度とは?導入メリットや購入後の所有権について解説

公開日時:2023.09.28 / 更新日時: 2024.10.31

福利厚生になる書籍購入制度とは?導入メリットや購入後の所有権について解説

こんな方におすすめ

  • 書籍購入制度の導入を検討している方
  • 書籍購入制度の事例を探している方

書籍購入制度とは、業務に関連する書籍等を従業員が購入するときの費用を補助する制度です。採用の強化や従業員のスキルアップを目的として書籍購入制度を福利厚生の一つとして導入している企業が増えています。
この記事では書籍購入制度の解説に加え、導入のメリットや事例を紹介します。


 

1.書籍購入制度とは

書籍購入制度とは、業務に関連する書籍や資格の取得に必要な書籍などを従業員が購入するときに会社が補助することを定めた社内制度です。月やクォーター単位で補助する上限額を定めるケースが一般的です。法律により定められた制度ではありませんが、福利厚生の1つとして導入している企業が多く見られます。

 

2.書籍購入制度を導入するメリット

書籍購入制度を福利厚生として導入するメリットとして以下の2つが挙げられます。

 

・従業員のスキルアップにつながる

・求職者からのイメージアップにつながる

 

従業員のスキルアップにつながる

書籍購入制度を導入すると、業務に必要な書籍や自分のスキルアップにつながりそうな書籍を従業員が購入しやすくなり、スキルアップが期待できます。

書籍購入制度がない場合、欲しいビジネス書があっても購入を躊躇する従業員は少なくありません。金銭的な負担を減らすことによって、従業員が必要な書籍を手に入れやすくなれば、学ぶ機会が増え、従業員のスキルアップにつながりやすくなります。また、各従業員のスキルが上がることにより、業務全体の効率化、生産性の向上などのメリットを得ることも期待できます。

 

求職者からのイメージアップにつながる

書籍購入制度を導入していると「従業員の成長を奨励する環境が整っている企業だ」という良いイメージを求職者に与えられます。

近年、求職者は給与や勤務地、仕事内容に加えて福利厚生を重視するようになっており、特に新卒採用の場合、福利厚生が整備されていないだけで候補から外れる可能性があります。書籍購入制度のようなスキルアップにつながる福利厚生は、求職者から好印象を得られ、応募数増加も期待できるでしょう。

 

3. 書籍購入制度を利用して購入した書籍の所有権

書籍購入制度を利用して購入した書籍の所有権は、会社とすることも、従業員個人とすることもできます。会社が所有する場合と個人が所有する場合の利点と欠点は以下の通りです。

 

所有権 利点 欠点
会社 ・全従業員が閲覧できる。

・同じ書籍を何度も購入する必要がない。

・返却の必要があり書き込みづらい。

・電子書籍は利用できない。

個人 ・手元に置ける。

・書き込める。

・電子書籍の購入もできる。

・同じ書籍を複数購入する必要がある。

・税金の対象になる。

 

会社が所有権を持つときの注意点

会社が所有権を持つ場合、電子書籍を活用することは困難です。電子書籍は、物理的にスペースを使わなかったり、複数端末で読むことが出来たりと、大変便利なものです。しかし、電子書籍は使用・観閲の権利を購入するものであり、複数人での利用を前提にしたものではありません。会社の蔵書として複数の従業員で読むと規約違反となる可能性があります。

 

個人が所有権を持つときの注意点

書籍に限った話ではありませんが、従業員に所有権を与える場合、物品を贈与することになるため税金の対象になります。会社から贈与された書籍とみなされ、一時所得として所得税が発生するのです。

福利厚生ではなく業務の一環として購入する場合は、業務に必要な物品であれば対象にならないケースもあります。業務内容や購入する書籍などによって異なるため、書籍購入制度を制定する際に専門家にアドバイスを求めることがおすすめです。

 


 

4.書籍購入制度の導入事例

書籍購入制度を実際に導入している企業ではどのように取り組んでいるのか、3つの事例を紹介します。

現場で使える「技術書」の購入を補助|株式会社アドグローブ

要約することで書籍費用を補助|TieUps株式会社

より使いやすいよう制度をリニューアル|株式会社アンドパッド

 

現場で使える「技術書」の購入を補助|株式会社アドグローブ

株式会社アドグローブでは、業務効率化やスキルアップにつなげるために「技術書購入補助制度」を取り入れています。Webシステムやアプリ、コンシューマーゲーム、ソーシャルゲームなどの開発に役立つ本から、資格取得や新たなスキルを身に付けるための教本、人事・営業のための本まで幅広く活用されています。

 

参考|【福利厚生】技術書籍購入補助制度のご紹介 – アドグローブブログ | 渋谷のIT会社

 

要約することで書籍費用を補助|TieUps株式会社

TieUps株式会社では、読んだ書籍の内容を指定のフォーマットに沿って記載すると本の定価が支給される「要約手当」を導入しています。フォーマットには、「書籍の概要」「会社で生かせそうなポイント」「読んでほしい社員」の3点を記入します。読んだ書籍の内容への理解を深めることはもちろん、情報処理能力の向上や得た知識を会社にどう還元できるかを考える習慣化を目的としているとのことです。

 

参考|​読んだ本を要約をすると本の定価を支給 福利厚生「要約手当」を導入 | TieUps株式会社

 

より使いやすいよう制度をリニューアル|株式会社アンドパッド

株式会社アンドパッドでは、リモートワークが増えたことをきっかけに、従業員がより使いやすいように書籍購入補助をリニューアルしました。従来は「紙媒体のみ」「書き込み禁止」という決まりでしたが、Kindleでの購入と書き込みを許可する形に変更したのです。リニューアル後の2カ月で42件もの利用があった上に、輪読会や社内勉強会も活発になりました。

 

参考|リモートワーク主体になったので書籍購入補助をリニューアルした – ANDPAD Tech Blog

 

5.まとめ

書籍購入制度は、従業員のスキルアップや求職者からの応募数増加につながる有用な福利厚生の1つです。会社と従業員のどちらに所有権を持たせるべきかは企業によって異なるため、自社にマッチした運用方法を検討してください。

 

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