ケース紹介 簿記3級の合格率は?最新データと統一・ネット試験の違いを解説!

公開日時:2025.10.24

簿記3級の合格率は?最新データと統一・ネット試験の違いを解説!

簿記3級の合格率について解説します。最新の試験回ごとの合格率の推移や、統一試験(ペーパー)とネット試験(CBT)の違いを紹介します。合格率が低いと言われる理由や、合格するための勉強法も解説するため、受験を検討している方はぜひ参考にしてください。

簿記3級は、経理や会計の入門資格として、また社会人の必須知識として非常に人気のある資格です。これから受験を考えている方にとって、まず気になるのが「合格率」ではないでしょうか。合格率を知ることで、試験の難易度を客観的に把握し、学習計画を立てる上で重要な指標となります。この記事では、最新の公式データをもとに、簿記3級の合格率を詳しく解説します。統一試験(ペーパー形式)とネット試験(CBT形式)の違いや、合格率の変動理由、そして合格を勝ち取るためのポイントまで紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

簿記3級とは?

 


はじめに、簿記
3 級がどのような資格なのか、基本的な概要と合格基準について確認しておき
ましょう。

 

ビジネスの基礎知識を証明する資格

簿記3級は、業種や職種を問わず、すべての社会人に役立つ会計の基本的な知識を証明する資格です。企業の経済活動を帳簿に記録し、決算書を作成するまでの一連の流れを学びます。経理職はもちろんのこと、営業職や企画職においても、自社の財務状況を理解し、コスト意識を持って仕事を進める上で非常に役立ちます。まさに「ビジネスの共通言語」とも言えるでしょう。

 

試験の概要と合格基準

簿記3級試験は、統一試験(ペーパー形式)とネット試験(CBT形式)の2種類の方法で受験できます。主な試験概要は以下の通りです。

項目 内容
試験時間 60分
出題形式 第1問:仕訳問題、第2問:勘定記入など、第3問:決算整理後残高試算表など
合格基準 全体で70%以上の得点
受験料 商工会議所により異なる(例:3,300円税込)

合格基準は100点満点中70点以上と明確です。相対評価ではなく絶対評価の試験であるため、定められた基準を超えれば誰でも合格できます。

参考:簿記 3級 | 商工会議所の検定試験

 

簿記3級の合格率【最新データ】

それでは、簿記3級の合格率を見ていきましょう。試験形式によって合格率の傾向が異なるため、それぞれ分けて解説します。

 

統一試験(ペーパー形式)の合格率推移

統一試験は、年に3回(6月、11月、2月)決まった日程で実施される筆記試験です。近年の合格率は以下の通りです。

試験回 実受験者数 合格者数 合格率
第170回(2025年6月) 18,935名 8,024名 42.4%
第169回(2025年2月) 21,026名 6,041名 28.7%
第168回(2024年11月) 19,588名 5,785名 29.5%
第167回(2024年6月) 20,927名 8,520名 40.7%
第166回(2024年2月) 23,977名 8,706名 36.3%
第165回(2023年11月) 25,727名 8,653名 33.6%
第164回(2023年6月) 26,757名 9,107名 34.0%
第163回(2023年2月) 31,556名 11,516名 36.5%

統一試験の合格率は20%台から40%台まで、回によって大きく変動する特徴があります。

参考:簿記 3級受験者データ(統一試験) | 商工会議所の検定試験

 

ネット試験(CBT形式)の合格率

ネット試験は、テストセンターのパソコンを使用して、随時受験が可能な試験形式です。2020年12月から開始されました。ネット試験の合格率は、年度ごとの平均で公表されています。

年度 受験者数 合格者数 合格率
2024年度 254,433名 98,235名 38.6%
2023年度 238,155名 88,264名 37.1%
2022年度 207,423名 85,378名 41.2%
2021年度 206,149名 84,504名 41.0%

年間を通して約40%前後で安定して推移していることがわかります。

参考:簿記 2級・3級受験者データ(ネット試験) | 商工会議所の検定試験

 

なぜ試験形式で合格率が違うのか?

統一試験の合格率が回ごとに変動するのに対し、ネット試験の合格率が安定しているのには理由があります。ネット試験では、受験者ごとに異なる問題がランダムで出題されるため、問題の難易度が平準化されます。一方、統一試験は全員が同じ問題を解くため、その回の問題がたまたま難しかったり、易しかったりすると、直接合格率の変動に繋がってしまうのです。

参考:日商簿記検定試験(2級・3級)ネット試験(インターネット申込方式)に関するQ&A | 商工会議所の検定試験

 

合格率から見る簿記3級の難易度

合格率のデータを見ると、「簿記3級は意外と難しいのでは?」と感じるかもしれません。ここでは、合格率の数字から簿記3級の難易度を考察します。

 

合格率が低い回がある理由は?

統一試験で合格率が30%台になることがあるのは、前述の通り、問題の難易度にばらつきがあるためです。特に、過去に出題頻度が低かった論点や、応用的な形式で問題が出されると、受験者の正答率が下がり、結果として合格率も低くなる傾向があります。しかし、試験の本質的な難易度が毎回変わるわけではありません。基本的な知識をしっかりと身につけていれば、どのような問題にも対応できる力がつきます。

 

他の資格と比較すると難易度は高くない

簿記3級の合格率は約40%前後ですが、他の人気資格と比較して決して低すぎる数字ではありません。例えば、宅地建物取引士(宅建士)の合格率は15%〜17%、ファイナンシャル・プランニング技能検定2級(FP2級)は学科試験で40%〜50%程度です。簿記3級は、正しい手順で学習すれば十分に合格が狙える資格であり、難易度としては決して高すぎるものではないと言えるでしょう。

参考:不動産適正取引推進機構・試験実施概況(過去10年間)

参考:FP2級の受験者数と合格率(FP協会)|FP試験ナビ

 

簿記3級の合格を勝ち取るためのポイント

簿記3級に合格するためには、どのような点に気をつけて学習を進めればよいのでしょうか。3つの重要なポイントを紹介します。

 

ポイント1:勉強時間の目安は100時間

簿記の知識が全くない初学者の場合、合格に必要な勉強時間は一般的に100時間程度と言われています。 1日に2時間勉強するなら約2ヶ月、1日3時間なら約1ヶ月で達成できる計算です。まずはこの100時間を基準に、ご自身のライフスタイルに合わせた学習計画を立てることから始めましょう。

 

ポイント2:仕訳の基礎を徹底的に固める

簿記3級の試験は、すべての問題が「仕訳」の知識を土台としています。第1問で直接問われるだけでなく、第2問や第3問を解く上でも仕訳の理解は不可欠です。学習の序盤で仕訳のルールを徹底的にマスターすることが、合格への一番の近道です。勘定科目を覚えるだけでなく、なぜその仕訳になるのかという理屈まで理解するように努めましょう。

 

ポイント3:ネット試験(CBT)での受験を検討する

もし試験日程にこだわりがなければ、ネット試験での受験を検討することをおすすめします。ネット試験は、自分の都合の良い日時と場所で受験できるだけでなく、合格率が安定しているため、問題の難易度に左右されにくいというメリットがあります。また、合否がその場でわかるため、すぐに次のステップ(就職活動や2級の学習)に進めるのも大きな利点です。

 

簿記3級を取得するメリット

 

 

最後に、簿記3級を取得することで、あなたのキャリアにどのようなプラスがあるのか、具体的なメリットを見ていきましょう。

メリット1:経理・会計職へのキャリアの第一歩になる

簿記3級は、経理や会計の仕事を目指す上でのスタートラインとなる資格です。未経験から経理職へ転職する場合、簿記3級を持っていることで、基礎知識と学習意欲をアピールすることができます。

【関連記事】書籍・専門書代は経費になる?勘定科目と注意が必要なケースを紹介 |三省堂書店法人専門サービス

 

メリット2:企業の財務状況が理解できるようになる

学習を通じて、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)といった財務諸表の基本的な構造を理解できるようになります。自社や取引先、競合他社の経営状況を数字で客観的に把握する力が身につきます。

 

メリット3:上位級(2級・1級)へのステップアップ

簿記3級は商業簿記の基礎ですが、2級では工業簿記が加わり、より実践的な会計知識を学びます。3級で得た知識は、2級、そしてさらに専門的な1級へとステップアップしていくための強固な土台となります。

 

まとめ

 

簿記3級の合格率は、統一試験では変動が大きいものの、ネット試験では約40%で安定しています。この数字は、決して簡単ではないものの、正しい方法で学習すれば十分に合格可能であることを示しています。この記事で紹介したポイントを参考に、まずは100時間の学習計画を立ててみましょう。簿記3級の取得は、あなたのキャリアの可能性を広げる確かな一歩となるはずです。

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