電子書籍の社内共有がもたらすメリット
電子書籍を社内で共有することには、紙の書籍にはないメリットがあります。そのなかでも特に「スペースの節約」「コスト削減」「利便性の向上」の3点が挙げられます。
スペースの節約とコスト削減
紙の書籍は保管場所を必要としますが、電子書籍には物理的なスペースは不要です。オフィス内に書庫や資料室のスペースを十分に確保できない企業でも、有効活用できます。また、電子書籍は紙の書籍に比べて販売価格が抑えられているケースが多く、配送コストもかかりません。大量の書籍を抱える企業にとって、これは大きな利点となるでしょう。
いつでもどこでも情報へアクセス可能に
リモートワークが普及した現代において、社員がオフィスにいなくても書籍にアクセスできることは極めて重要です。電子書籍であれば、インターネット環境さえあれば、自宅や出張先など場所を問わず必要な情報をすぐに手に入れられます。これにより、情報格差をなくし、社員一人ひとりの学習機会を広げることが可能です。
電子書籍の社内共有におけるデメリットと課題
多くのメリットがある一方で、電子書籍の社内共有にはデメリットも存在します。特に注意すべきは「著作権」と「共有方法」に関する問題です。
著作権とライセンスの問題
市販されている電子書籍のほとんどは、個人利用を前提としたライセンスで販売されています。これを無断で複数人で共有することは、著作権法に抵触する可能性があります。著作権をクリアするためには、企業向けの特別なライセンスやサービスを利用する必要があります。この点を無視して共有を進めると、企業としても法的なリスクを負うこととなります。
また、「個人向け電子書籍サービスでも家族間なら共有しても大丈夫」「複数デバイスで利用可能なサービスは共有してもOK」といった、誤った記載をしているまとめサイトも多く存在します。まとめサイトに「家族間なら共有OK」と記載されているサービスのひとつ、「ブックライブ」に確認を取ったところ、「利用規約の第6条(譲渡禁止)・第16条(パスワード管理)に明記している通りアカウントの共有使用は禁じており、家族といえども共有は許可していません」という回答を頂きました。まとめサイトを鵜吞みにせず、各サービスの規約を自身で確認することも非常に大切なことです。
参照:ブックライブサービス利用規約 https://booklive.jp/page/index/id/terms
共有方法の複雑さ
個人で電子書籍を読む場合は専用アプリや端末で完結しますが、社内で共有するとなると、共有方法が複雑になります。クラウドストレージにファイルをアップロードする方法や、専用のプラットフォームを導入する方法などがあり、それぞれのサービスによって利用規約や操作性が異なります。社員がスムーズに利用できるように、導入前に利用方法を周知・徹底することが不可欠です。
電子書籍と紙の書籍、どちらが社内利用に向いている?
書籍の社内利用を考える際、電子書籍と紙の書籍のどちらが適しているかは一概には言えません。ここでは、それぞれの特徴を比較し、貴社にとって最適な選択肢を見つけるためのヒントを提供します。
ライセンスと著作権
紙の書籍は、購入すれば貸し借りが基本的には自由に行えます。しかし、電子書籍は基本的に「利用権」を購入する形式のため、無断での共有は認められていません。多くの人が同じ書籍を読みたい場合など、電子書籍では人数分のライセンスを購入する必要があります。紙の書籍も同時に読みたい場合は複数冊の購入が必要となりますが、紙の書籍のほうが自由度は高いと言えます。
コストと管理の手間
電子書籍は、紙の書籍に比べて初期費用が安く済むことが多く、保管場所も必要ないため長期的なコスト削減につながります。一方、紙の書籍は一度購入すれば、紛失しない限りは追加費用は発生しませんが、管理や廃棄には一定の手間がかかります。
アクセス性(可搬性)
電子書籍はデバイス一つで大量の書籍を持ち運ぶことができ、検索機能も利用できます。必要な情報に素早くアクセスできる点は、業務効率を大きく向上させます。紙の書籍は物理的な制約があり、持ち運びが困難な場合がありますが、資格試験や研修用のテキストとして利用する場合は紙の書籍のほうが使いやすい、という声も多いです。
企業における電子書籍の具体的な共有方法
電子書籍を社内で共有するためには、個人向けのサービスではなく、法人向けのサービスを活用するのが一般的です。
クラウドサービスを利用した共有方法
一部の電子書籍はPDFなどのファイル形式で提供されており、これらを自社のクラウドストレージにアップロードして共有する方法があります。ただし、この方法で共有する場合、著作権者の許可が必要となる場合があるため、事前に利用規約を確認することが重要です。
法人向け電子書籍サービスを利用した共有方法
著作権の問題をクリアして安全に電子書籍を共有するなら、法人向けに提供されている電子書籍サービスを利用するのが最も確実です。これらのサービスは、複数人での同時利用を想定したライセンスや、利用状況の管理機能を提供しているため、安心して利用できます。
まとめ:書籍の共有は「電子」か「紙」か、それとも?
「電子書籍 共有 社内」のポイントまとめ
電子書籍の社内共有には、コスト削減や情報へのアクセスの利便性など、多くのメリットがあります。しかし、著作権やライセンスの問題など、注意すべき点も少なくありません。紙の書籍にも独自の利点があり、どちらが優れているかは一概に判断できません。大切なのは、自社の働き方や社員のニーズに合わせて最適な方法を選ぶことです。
三省堂書店法人専門サービスは紙も電子もサポート
三省堂書店では、紙の書籍はもちろんのこと、個人向け電子書籍サービス「ブックライブ」と提携した電子書籍販売もご提供しています。多様化する働き方に合わせ、紙と電子の両方を活用したハイブリッドな書籍管理・共有方法をご提案することが可能です。社員の成長を支える書籍環境の整備について、ぜひ一度ご相談ください。