企業の福利厚生や人材育成の一環として導入される「社内図書館」や「オフィスライブラリー」は、社員の知識向上や学習文化の醸成に大きく貢献します。
しかし、その一方で、以下のような管理業務の負担に直面していませんか?
- 「膨大な蔵書の貸出・返却管理に手間がかかる」
- 「誰がどんな本を借りているか、現状が把握しにくい」
- 「社員が読みたい本をすぐに見つけられない」
これらの課題は、せっかくの投資である社内図書館の利用率低下や、担当者の管理コスト増加という深刻な問題につながります。
本記事では、そうした課題を解決し、社内図書館の運用を効率化する「社内図書館アプリ」について、そのメリットから選び方、おすすめのツールまで詳しく解説します。
社内図書館の管理でこんな課題はありませんか?
社内図書館の運営には、多くの手作業が伴います。多くの企業では、下記のような課題を抱えているのが現状です。これらの課題は、担当者の負担を増やすだけでなく、社員の利用意欲を削いでしまう原因にもなりかねません。
本の貸出・返却状況が分からない
「あの本、今誰が借りているんだっけ?」「返却期限はいつだったかな?」といった状況は頻繁に起こりがちです。管理台帳への記入漏れや更新の遅れが発生すると、貸出状況の正確な把握が困難になります。その結果、読みたい本がいつ返ってくるのか分からず、社員が利用を諦めてしまうケースもあります。
蔵書の在庫管理が煩雑になっている
書籍が増えるにつれて、在庫管理はますます複雑になります。新しく本を購入する際に、すでに同じ本が社内にないかを確認する作業は手間がかかります。また、どの本がどこに配架されているのか、紛失していないかなどを定期的にチェックする蔵書点検も、手作業では大きな負担となります。
社員がどんな本を読みたいか把握できない
社員のニーズに合った本を揃えることは、社内図書館の利用率を高める上で非常に重要です。しかし、アンケートやヒアリングを実施するにも手間がかかり、どのようなジャンルやテーマの本に需要があるのかを正確に把握することは簡単ではありません。結果として、誰も読まない本ばかりが増えてしまうという事態に陥ることもあります。
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Excelやスプレッドシートでの管理に限界を感じている
多くの企業で、ExcelやGoogleスプレッドシートが蔵書管理に使われています。手軽に始められる一方で、複数人での同時編集がしにくかったり、関数が壊れてしまったりするリスクがあります。また、貸出・返却の履歴を追いかけたり、利用者ごとの利用状況を分析したりといった、複雑なデータ管理には向いておらず、運用が属人化しやすいというデメリットもあります。
社内図書館アプリで解決できること
社内図書館アプリを導入することで、これまで手作業で行っていた管理業務の多くを自動化し、効率化できます。ここでは、アプリが持つ代表的な機能と、それによってどのように課題が解決されるのかを解説します。
貸出・返却管理を自動化できる
アプリを使えば、誰が・いつ・どの本を借りたのか、そして返却予定日はいつなのかといった情報が自動で記録されます。利用者はスマートフォンやPCから簡単に貸出手続きができ、管理者はリアルタイムで貸出状況を一覧で確認可能です。返却期限が近づくと自動でリマインダー通知を送る機能もあり、返却忘れを防ぐ助けとなります
バーコードで簡単に書籍登録できる
新しい本を社内図書館に追加する際の登録作業も、アプリを使えば大幅に簡略化できます。多くのアプリには、書籍の裏表紙にあるISBNバーコードをスマートフォンのカメラで読み取る機能が搭載されています。バーコードをスキャンするだけで、書名、著者名、出版社、表紙画像といった書誌情報が自動で入力されるため、手入力の手間とミスを削減できます。
検索機能で読みたい本がすぐに見つかる
アプリには強力な検索機能が備わっています。社員はキーワードやカテゴリから読みたい本を簡単に探すことができます。これにより、「どんな本があるか分からない」という不満が解消され、社員は目的の本に素早くたどり着けます。空き時間にスマートフォンから蔵書を検索し、読みたい本を予約するといった使い方も可能になり、利便性が大きく向上します。
利用状況をデータ化・分析できる
どの本がよく借りられているのか、どのようなジャンルが人気なのかといった利用状況がデータとして蓄積 されます。これらのデータを分析することで、社員の興味や関心の傾向を客観的に把握し、次の書籍購入の際の貴重な参考情報として活用できます。データに基づいた選書は、蔵書の質を高め、社内図書館をより魅力的なものにします。
社内図書館アプリを導入する3つのメリット
業務効率化以外にも、社内図書館アプリの導入は企業に多くのメリットをもたらします。ここでは、特に重要な3つのメリットについて解説します。
メリット1:管理担当者の業務負担を大幅に削減できる
これまでExcelへの入力や貸出状況の確認に費やしていた時間が大幅に削減されます。これにより、管理担当者は本来の業務に集中できるようになります。また、管理業務が標準化されることで、特定の担当者にしか分からない「属人化」の状態を防ぎ、誰でも簡単に社内図書館の管理ができるようになります。
メリット2:社員の利用率向上と学習文化が醸成される
スマートフォンやPCから手軽に蔵書検索や貸出予約ができるようになると、社員にとって社内図書館の利用ハードルが大きく下がります。使いたい時にすぐ使える環境は、利用率の向上に直結します。本に触れる機会が増えることで、社員の学習意欲が刺激され、組織全体に学びの文化が醸成されていく効果も期待できます。
メリット3:書籍購入費用の最適化が期待できる
利用状況のデータを分析することで、本当に読まれている本、ニーズの高い本が明確になります。これにより、勘や経験に頼ることなく、データに基づいて効果的な書籍購入計画を立てることができます。死蔵書(誰にも読まれない本)の発生を防ぎ、限られた予算を最大限に有効活用することが可能になります。
自社に合った社内図書館アプリの選び方
数あるアプリの中から自社に最適なものを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、選定時に比較検討すべき4つの視点を紹介します。
比較ポイント | 内容 | 確認事項 |
提供形態 | クラウド型かオンプレミス型か | · 自社のセキュリティポリシーに合っているか
· サーバー管理の必要はあるか |
機能 | 必要な機能が過不足なく搭載されているか | · バーコード登録、検索、予約、リマインダー機能など、自社が求める要件を満たしているか |
操作性・サポート | 誰でも直感的に使えるか | · 無料トライアルなどで実際の使用感を確認できるか
· 導入時やトラブル発生時のサポート体制は十分か |
コスト | 導入・運用にかかる費用は予算内に収まるか | · 初期費用、月額(年額)費用、オプション料金など、トータルコストを把握する |
クラウド型かオンプレミス型か
アプリの提供形態には、インターネット経由でサービスを利用する「クラウド型」と、自社のサーバーにシステムを構築する「オンプレミス型」があります。近年は、初期費用を抑えられ、メンテナンスの手間もかからないクラウド型が主流です。特別なセキュリティ要件がない限りは、手軽に導入できるクラウド型から検討するのが良いでしょう。
必要な機能が搭載されているか
まずは、自社の社内図書館運営において「絶対に外せない機能」と「あると便利な機能」を洗い出しましょう。例えば、本の登録、貸出・返却、予約は基本機能として必須です。その上で、バーコード読み取り機能や、読書感想を共有できるレビュー機能など、自社が実現したい運用に必要な機能が備わっているかを確認します。
操作性は高いか、求めるサポート体制か
アプリは管理者だけでなく、全社員が使うものです。ITツールに不慣れな人でも直感的に操作できる、分かりやすいインターフェースであることが重要です。可能であれば無料トライアル期間などを活用し、実際に複数の社員に使ってもらい、操作性をチェックすることをおすすめします。また、不明点やトラブルが発生した際に、迅速に対応してくれるサポート体制が整っているかも確認しておきましょう。
導入・運用コストはどれくらいか
コストを比較する際は、初期費用だけでなく、月額や年額で発生するランニングコストも考慮に入れる必要があります。利用者数や登録する蔵書数によって料金プランが変わるサービスも多いため、自社の規模に合ったプランを選びましょう。「無料プラン」から始めて、利用が定着してきたら有料プランに移行するという方法も有効です。
おすすめの社内図書館管理アプリ・ツール
ここでは、社内図書館の管理に活用できる代表的なアプリやツールを3つ紹介します。それぞれ特徴が異なるため、自社の目的や規模に合わせて比較検討してください。
無料から始められる「カシカン」
備品や書籍の貸出管理に特化したクラウドサービスです。無料プランでも基本的な貸出管理機能が利用でき、スマートフォンアプリも提供されているため、手軽に始めることができます。ISBNバーコードの読み取りによる書籍登録にも対応しており、小規模な社内図書館の運用に最適です。
汎用性の高い「サイボウズ Office」
多くの企業で導入されているグループウェア「サイボウズ Office」のカスタムアプリ機能を使えば、自社専用の社内図書館アプリを作成することができます。貸出状況や書籍情報を管理するデータベースを自由に設計でき、他の機能(スケジュールや掲示板など)と連携させることも可能です。すでにサイボウズ Officeを導入している企業にとっては、追加コストなしで始められる有力な選択肢です。
参考:サイボウズ Office | 中小企業向けかんたんらくらくグループウェア
情報共有も可能な「Notion」
ドキュメント作成やタスク管理、データベース構築など、様々な機能を組み合わせられる「万能ツール」です。Notionを使えば、書籍のデータベースを作成し、貸出状況やレビューを一覧で管理するページを構築できます。テンプレートも豊富に用意されており、カスタマイズの自由度が高いのが特徴です。単なる蔵書管理だけでなく、読書メモやナレッジの共有といった用途にも活用できます。
参考:あなたのニーズを叶えるAIワークスペース。| Notion (ノーション)
まとめ
社内図書館アプリは、担当者の管理業務を効率化するだけでなく、社員の利便性を高め、組織の学習文化を促進するための強力なツールです。Excelでの管理に限界を感じている、これから社内図書館を立ち上げたいと考えている企業は、本記事で紹介した選び方やツールを参考に、ぜひアプリの導入を検討してみてください。まずは無料のツールから試してみることで、その効果を実感できるはずです。
ただし、アプリを導入し、利用率を上げるには、まず社員が「読みたい」と思える充実した蔵書の確保が不可欠です。
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