ケース紹介 書店員直伝!本屋で買えるビジネスで役立つ手帳・スケジュール帳の選び方と豆知識

公開日時:2023.09.28 / 更新日時: 2023.11.28

書店員直伝!本屋で買えるビジネスで役立つ手帳・スケジュール帳の選び方と豆知識

こんな方におすすめ

  • 手帳の選び方を知りたい方
  • 手帳の豆知識を知りたい方

秋から春にかけて、書店店頭でも様々な手帳が販売されます。毎年お気に入りの手帳を購入される方もいれば、「そもそもどれを選んだらいいのかわからない」「どんな違いがあるの?」と悩まれる方も多くいらっしゃいます。このコラムでは特にビジネスシーンを想定した手帳の選び方をお伝えします。また、手帳にまつわる豆知識も調べてみました。お打合せの際の会話の切り口のひとつとして参考にしていただけると嬉しいです。

ビジネスシーンに役立つ手帳の選び方

あなたのビジネスシーンにはどのような手帳がふさわしいのでしょうか?手帳はサイズも中身も種類がとても豊富で、どれを選んでいいか迷ってしまいますよね。それぞれの特徴と選び方をお伝えします。

 

【1】 サイズ 手帳を持ち歩きたい派?たっぷり書きたい派?

・コンパクト/A6(文庫)サイズ

 

持ち歩きに便利なポケットサイズです。メモ帳代わりやちょっとした記録用としての用途に重宝します。

 

・B6サイズ

 

携帯性と記入スペースのバランスがとれた一番人気のサイズです。種類が豊富なのでまずはこのサイズから探してみてはいかがでしょうか?

 

・A5/B5サイズ

 

手帳というよりは一般的なノートに記入する感覚です。スケジュールだけでなくビジネスの打合せ内容などをしっかり記入したい方にお薦めです。

 

・A4サイズ

 

会社のデスクに常備して社内打合せや日誌代わりに使う大判サイズ。保管しておけば過去の振り返りにも活用できます。

 

【2】スケジュールフォーマット あなたのお仕事、どう管理しますか?

・マンスリー

・ウィークリー

・デイリー

 

ご自分のお仕事を月間でおおまかに管理したいのか、1週間ごとまたは1日ごとに細かく管理したいのかでタイプが変わります。一般的にマンスリー⇒ウィークリー⇒デイリーの順番で手帳のページ数も増えますし記入スペースも増えていきます。

 

・ブロック/レフト/バーチカル

 

ブロック式は1日を1マスで表現します。マンスリーブロックは見開きで1ヶ月なのでカレンダーに予定を記入するイメージです。1ヶ月の予定をおおまかに把握するのに便利。デイリーブロックは日記・日誌としての用途に適しています。

 

ウィークリータイプに多いのがレフト式。見開き左側が1週間のカレンダー、右側がフリースペースとなっており、記入内容に自由度が高いのが特徴です。

 

バーチカル式は1日ごとに時間軸が記載されています。時間ごとの予定や空き時間の管理をしっかり行いたい方にお薦めです。

引用:高橋書店 https://www.takahashishoten.co.jp/notebook/search-layout/

 

【3】素材・見た目 お取引相手はあなたの手帳を見ています!

Web会議が増えてきた昨今、スマホアプリなどでも十分スケジュール管理が可能です。ただ、大事なお取引相手と対面で会議を行う場合、目の前でスマホをぽちぽち触るのはなんだか気まずいですよね。先方に伺う機会が多い方はA5サイズ~B5サイズのしっかりした手帳を手元に広げて商談を行うことで、信頼感のアピールに繋がることでしょう。何事も見た目は大切です。

 

手帳の歴史

【1】手帳の始まり

1796年、レッツ社(Charles Letts & Co Limited)の創業者であるジョン・レッツはロンドンで文具を扱う店を始めました。
顧客から何かいろいろ記録できるようなものが欲しいとの要望があり、これに応える形で
1812年、ダイアリーの製作販売を開始しました。
このダイアリーが世界で初めての手帳と言われています。
現在でもレッツ社のダイアリーは世界各国で使用されています。

 

【2】日本の手帳の始まり

日本では記録という意味での手帳は、帳面とも呼ばれ古くは戦国時代あたりから出現したようです。
現代のイメージに近い手帳の始まりは、明治時代の警察手帳ですが、当初は規格が統一されておらず、1935年内務省が警察手帳規定を制定、全国統一が図られました。
これはその名が示す通り手帳の形をしていて、実際に書き込みもできました。
一般の人が使う手帳としては、1879年(明治12年)大蔵省印刷局が発行、一般販売された
「懐中日記」が始まりのようです。

 

【3】ビジネス手帳の始まり

ビジネス手帳の始まりは戦後になってからです。
1949年(昭和24年)日本能率協会が時間目盛りの入った手帳を制作、会員に配布したのが好評で1951年(昭和26年)には法人向けに、

1958年(昭和33年)には一般向けの販売が開始されました。
能率手帳は、2013年(平成25年)「NOLTY(ノルティー)」と名称変更し、今でも高いシェアを誇っています。
シェアで言えば、日本能率協会と並ぶ手帳の会社として高橋書店があげられます。
「手帳は高橋」のコピーで知られていますが、手帳大賞を主催したりもしています。

ビジネス手帳の歴史忘れてはいけない出来事と言えば、1984年(昭和59年)イギリスのファイロファックス社のシステム手帳の登場です。
それまでもバインダー式のノートなどはありましたが、様々なリフィルを組み合わせ、自分に合った手帳を作ることができるのは画期的でした。

1990年代に入るとパーソナルコンピュータの進化が目覚ましく、2000年代に入ると
持ち歩きができるパソコンも出回り始め、2010年代にはスマートフォンの登場もあり
スケジュール管理などをデジタルツールで行う人も増えてきました。

手帳の歴史についてより詳しくお知りになりたい方はこちら
「手帳と日本人」(NHK出版)

https://www.books-sanseido.jp/booksearch/BookSearchExec.action

 

あなたは紙の手帳派?デジタル派?

 

手帳の歴史について簡単に振り返りましたが、最後に触れたように今やデジタルツール全盛時代、一方で紙の手帳も年末が近づくといたるところで目にします。
実際のところ現状はどうなのでしょうか?

出典:LINEリサーチ https://research-platform.line.me/archives/36943924.html
(小数点以下四捨五入のため、合計が100%にならない場合もあります)

上記のアンケートによると手帳を使わない人もいますが、10代から50代で手帳を使う人は85%にのぼり、紙とデジタルの割合は全体で紙派41%、デジタル派45%という結果です。
年代別にみると紙派は年代が上がるにつれて増加していて、40代、50代ではデジタル派を上回っています。

それぞれを使う理由としては双方とも「使い慣れている」点が上位にあげられました。

また紙派としては記録の自由さ、デジタル派としてはアクセスの良さが上位にきています。

この結果を皆様はどうお感じになりましたか?

思ったより拮抗していて、紙の手帳もまだまだ根強い人気があるようです。

 

手帳って文具?書店で売っているから書籍?

【1】手帳は文具か書籍か

まず結論から申し上げますと、書店の立場としては書籍と考えたいと思っています。

三省堂書店ではジャンルごとに売上ベストを出していますが、手帳はビジネス書のカテゴリーに入れています。

そして秋になると毎年各種手帳がビジネス書に交じってランクインします。担当者も書籍と同じ思い入れをもって、並べたりPOPを作ったりの仕事をしています。

 

【2】書店で扱っている理由

ところで紙の手帳をお使いの皆様は、手帳をどこで購入されていますか?
そもそも手帳は文具というイメージもありますが、実際購入されるのは書店でという方も多いのではないでしょうか。
夏の終わりから秋頃になるとどこの書店でも広いスペースを取って手帳を展開しています。
文具のイメージもある手帳を、なぜ書店で大きく取り扱っているのでしょう?

当社の手帳担当の社員に聞いても、昔から扱っているのでそれが当たり前と思い、実際なぜかと聞かれてもわからないとのことでした。
ただ昔から書籍と文具は相性が良く、かなりの書店で文具売り場も併設しています。
(当社もそうです)
だから違和感がないのかもしれませんが、それにしても季節性があるとはいえ、秋から年末にかけての展開はかなりのスペースを取って行われています。

なぜ書店で手帳を扱っているのか?
別な面から考えてみました。

 

【3】手帳とISBN

手帳にISBN(インターナショナル スタンダード ブック ナンバー)が付与されていることはご存知でしょうか?
ISBNは世界共通の書籍の商品番号のようなもので、ISBNを見ればどこの国のなんという出版社から発行されたものかがわかります。
また単行本が文庫化されるようなケースだと著者もタイトルも同じです。その場合ISBNは単行本と文庫、それぞれに違う番号が付与されますので書店としては商品管理上も役に立つものです。
その書籍の商品番号が手帳にも付与されているのです。
では手帳って書籍?
いやいや文具店でも売ってるのに?

この疑問について2大手帳会社である日本能率協会と高橋書店に聞いてみましたが、正確な経緯まではわかりませんでした。ただ両社とも出版社ですし、高橋書店の方によると、もともと家計簿を出版しており、実用書の流れで作りはじめたということでしたので書店流通を最初から想定していたと考えられます。
ただISBNは1965年(昭和40年)にイギリスで開発され、日本で普及し始めたのは1980年代なので、書店での取り扱いの方が先で、書店流通にはISBN付与が必要になってきてつけ始めたというのが正解かも知れません。

書店で手帳を取り扱っているのは、2大手帳会社である日本能率協会と高橋書店が出版も手掛けている点が大きいと思われます。
また全国の書店と文具店の店舗数でも、現在では両者とも減少しているとはいえ、書店の数は文具店の倍以上ありますので、展開上書店の方が有利という面もあるかも知れません。

 

【4】まとめ

業界的には別なご意見もあるかも知れませんし、普段は意識していないことかも知れません。

ただ三省堂書店としては最初に書きましたように書籍として接していきたいと思います。

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